夏の蝶
🐇 翻るとき透きとほる夏の蝶 (平成3年) 強い光に目で追っていた蝶を一瞬、見失しなった。 自分の句は細部にこだわっていると改めてこの句を読んで思い至った。 まあ、句づくりに行き詰った... 続きをみる
茄子漬ける
🐇 姑と住む心づもりの茄子漬ける 核家族の進む中で、姑と住む生活設計。 その心づもりの手はじめに茄子の漬物を作るのは素朴な心の現れである。 何でもマーケットで買う昨今の味気なさは主婦が一番知っている筈で漬物くらいは手作り にして、自分を育ててくれた母の... 続きをみる
青無花果
🐇 雨きざす青無花果の濃きにほひ 無花果は大好物の果実。 もう店頭に並んでいる。 葉はいつも良く匂う。 雨を催 す気配になるともっともっと、青い匂いが無花果の木の辺りに漂ってくる。 ... 続きをみる
夏暖簾
🐇 染抜きの風の字揺れる夏暖簾 昔、暖簾に凝ったことがある。 暖簾、十枚以上もあるだろうか。 現在、吊っていつのは柄が気に入って買った手頃の中国製だ。(安価なのれん)
甘い
(寺山の詩集が、どこかへかくれんぼをしている) 🐇 梅雨傘と寺山修司汽車西へ (1994年) 古い俳誌をめくっていると、この句が「注目秀句欄」に載っていた。 今の師... 続きをみる
秋の声
🐇 むらさきの貝の破片や秋の声 「むらさき」は紫草の根で染めた色で 「託馬野(つくまぬ)に生ふる紫草衣に染め未だ着ずして色の出でにけり」 萬葉集に詠まれているように品位があり、優雅な色彩は多くの人のあこがれでもあろう。 「秋の声」... 続きをみる
かなぶん
🐇 かなぶんや深夜のコインランドリー 昼間は忙しかった。 たまった洗濯物を持って、コインランドリーに。 誰もいない深夜の建物をかなぶんが忙しそうに羽音をたてて飛びまわる。 街を行き交う自動車もめっきり減った。 しかし、自分は寂しさと、生きてるという実... 続きをみる
驟雨
🐇 時告げるからくり時計驟雨くる 徳島にある、阿波踊りのからくり時計。 パソコンから取り込んだので不鮮明な写真。 昔、このからくり時計のある道は自転車での通勤路であった。 驟雨がきたので、からくり時計の仔細を見ながら雨宿りをしたことも、、、、。 ... 続きをみる
三尺寝
🐢 遍路笠胸に抱へて三尺寝 ここから、もう残すところ数キロで結願の寺大窪寺がある。 お遍路交流サロンがあり、お遍路さんが疲れを癒す立派な休憩所もある。 傍にはダム湖があり、ここから吹きあげてくる涼しい風に、若いお遍路さんがベン... 続きをみる
八朔
🐇 窯変の黝し八月十五日 🐇 八朔の窯場のお神酒徳利かな 登り窯に火を入れている時、行き合わせたことがあった。 窯にはお神酒を祀り窯で焼く陶器の成功をまず祈... 続きをみる
白粉花
🐇 白粉花モラエス通りに三絃屋 モラエスとは、ポルトガルの文学者。元海軍軍人。1898年日本へ移住,その後15年間神戸駐在総領事,その間日本婦人と同棲し,1913年徳島に隠棲(いんせい),乞食(こじき)同然の生活をしながら著述... 続きをみる
蓮田
🐇 没り日大き蓮田は海抜零地帯 白い花の咲く蓮田。 以前、この田を染めて夕日が没する場面にゆきくわしたことがあった。 蓮田には水路が行き交わされていて、小さな舟が見えた。
鮎
(写真はパソコンからお借りした) 🐢 父来たる鮎と七輪たずさへて 釣果の鮎を持って兄がやって来た。 吉野川でシーズンになると、兄は鮎を釣っていた。 子供の頃は、よくお供をした。 釣れた鮎を、河原で適当... 続きをみる
夏空
🐇 夏空や反り返り仰ぐダムの壁 日本で一番に大きい黒部ダムは見たことがない。 我が家から一番近くのダムは散歩によく訪れる。 小さなダムであるが、ダムの下の公園から見上げる壁は首が痛く感じるほどそらさなければならない。 きれいな夏空が広がっていた。 ... 続きをみる
暑い
🐇 阿波石の青を失ひたる暑さ 暑いのでお寺の境内で休んでいると、目の前に鳩がきて大きな杯の水の中に身体を半分、潜らせて水遊びをしていた。 池に架った阿波石の石橋は、真白く乾いていた。
🎐 風鈴
🎐 風鈴や大海知らぬコップ水 少し理屈の勝る句。 ガラスの江戸風鈴や、沖縄で買った深い藍色の風鈴。 風のとおる筋ごとに吊っている。 東北を旅した時の南部鉄の金魚の型の風鈴をパソコンを打っている窓に吊っている。 瀬戸の海風をうけて今朝も良き音色で楽... 続きをみる
西瓜
🐇 採り残しある西瓜畑海荒れる 選者の心にかなうと、投句の中からこれは俳句の程をなしていると思ったのを撰される。 櫂氏の選は五つの教えがあり、これにもう五年以上も学びながら学びきれない。 今月は、7~8句投句を... 続きをみる
甘草の花
(写真はパソコンからお借りした) 🐇 科人も帝も流人野かんざう もう何十年も前に佐渡島を訪れた。 岬に甘草の花が真っ盛りの頃であった。 新潟から佐渡の港へ船で渡る時、海にも国道があると初めて知った。 世阿弥が流された島。順徳天皇。そして... 続きをみる
夜濯ぎ
🐢 夜濯や水禍の人を思ひつつ 温泉のある隣町のダム湖。 静かに辺りの山の影が湖面にある。 水は何も無い平常の時は、美しくもあり、憩いともなるが、一度荒れ狂うと牙をむいて自然を破壊してしまう。 夜、遠くで鳴る船笛を聞きなが... 続きをみる
原爆忌
🐇 原爆忌汐入り川に魚の影 > 広島の旧太田川(本川)と元安川の分岐点に架る相生橋。 珍しいT字型の橋は上空からも目立ち、原爆投下の目標点となってしまいました。 多くの人が死に、水を求めてさ迷った川。「影」の一字が重く響きます。 このように選評... 続きをみる
水中り
🐢 水中り吟行句会だとゆうに 今朝もお腹がギシギシと痛む。 牛乳やヨーグルトは毎日の習慣として飲むのだが、時によってお腹の自愛が悪い時があって、飲んだ途端にお腹が痛み出す時がある。 この時も、吟行に出かけようとすると、調子が悪くなった。 嘆き... 続きをみる
黒い蝶
🐢 去年もこの木に夏蝶の黒き群 向かいのお宅の西洋ニンジン木に黒い蝶々が舞っていた。 去年もこの木の周辺をゆるやかに行ったり来たりしていた。 去年ばかりではなく毎年この木に直径は9~10センチもあろうか蝶々が、暑い盛りのこ... 続きをみる
海鮮食堂
🐢 旺盛な食たのもしき生身魂 食べ物の写真はあまり載せないことにしているのだけれど、、、 今日はたまたま故郷へ墓参の帰りに昼食に鳴門まで遠回りをして、繁盛をしている海鮮食堂へ寄った。 食欲が旺盛な生身魂とは自分自身のこと。 冷たい飲み物を飲み過ぎて、少し... 続きをみる
施餓鬼
> 丁度一年前の海水浴場。颱風が去った後だったかも。本当だともっと賑わっている。 🐢 朴葉寿司みな持ち寄りて施餓鬼かな 東北の俳句仲間が朴葉飯の句を詠んでいた。 それを見て、ネット投句に困り 朴葉 から連想をした句を詠んだ。 虚と実、朴葉に包んだ飯... 続きをみる