遍路 ❷
国分寺は、四国八十八ヶ所霊場の 八十番札所である。 奈良時代に聖武天皇の詔により日本各地に建立された国分寺のうち、讃岐国分寺の後継寺院にあたる。 寺の裏に回れば、その時代の栄華を誇っていた、壮大な跡地にその頃の伽藍が石造りの模型で復元されている。 お遍路さんの鈴の音が聞こえてくる。 ... 続きをみる
雪解け
雪解。雪解水。雪解川。雪解野。 暖かくなって雪国や山岳地帯の積雪が解け始めること。 その時期、川が増水をして轟々と響き流れ始める。 ☆ にぎわしき雪解雫の伽藍かな 阿波野青畝 > 大きな屋根を持つ古刹か。 春の光に中に雪解の雫の一粒一粒が眼前に。 ... 続きをみる
貝寄風
貝寄風。貝寄。 旧歴二月二十日前後に吹く強い風のこと。 大阪四天王寺の聖霊会の舞台に立てる筒花を、この風で吹き寄せられた貝殻で作ったという。 ☆ 貝寄風の風に色あり光あり 松本たかし 🐇 貝寄風や志度寺の見ゆる舟溜り この突堤の... 続きをみる
蕗の薹
蕗の薹。蕗の芽。蕗の花。春の蕗 早春、いち早く地中から萌黄色の花茎を出していりる。 山野から、庭先まで、そこここに自生をしている。 枯れた草の間かにそれを見付けると、春の訪れを感じる。 ☆ 里山や下葉撥るる蕗の薹 嵐雪 蕗味噌にしたり、天婦羅にするとお酒... 続きをみる
余寒
余寒、残る寒さ。 寒があけて後の寒さ。寒があけてもまだ寒さが残っていること。 春寒いは春にもかかわらず寒いという印象。ニュアンスの違い。 ☆ 鎌倉を驚かしたる余寒あり 高浜虚子 > 超 有名句。 (驚かしたる)は鎌倉幕府のある鎌倉は、天然の要塞であり、敵が攻め込むには難... 続きをみる
花 ❶
俳句では花と言えば 桜 のこと。 この花を詠むのは大の苦手である。 🐇 友逝きて心敬と花見てをるか 友というより尊敬をしていた方。 心敬の研究者であった。 身体があまり健康でなかったようである。 私が俳句を再開することに決心をして、彼の門をたたこうと思った時... 続きをみる
桜餅
🐢 お見舞いの遊山箱より桜餅 入院をしている時、古い遊山箱を探しだした夫がそれをを下げてやってきた。 自分の食事の自炊がやっとだから遊山箱に入っていたのは、お料理のたぐいではなかった。 あられ、桜餅、ウイスキーボンボン(病人には?しかし私の好物)が少しづ... 続きをみる
春の雨
🐇 藁ぐろの地に還りゆく春の雨 藁ぐろは、秋に刈り取った後の稲を散らばらないように円形、または四角に積み上げた」もの 藁にお、藁塚、として秋の季語になっている。 里山の田圃で見た藁塚が、冬の間もそのままに置かれ、根方は黒く腐り、今まさに春の雨に打たれて... 続きをみる
蛙の目借時
蛙の目借時。目借時。 春、暖かくなるととかく眠たい。 蛙の声が聞こえてくる頃になると、うつらうつら、こくっりこっくりと眠たくなる。 俗に蛙に目を借りられるという俳諧味のある季語である。 ☆ 薬飲むための食事よ目借時 平林孝子 > まるで我が家の家の中が覗かれている... 続きをみる
素麺
🐢 青空に風花素麺干す日和 単に素麺の季語は無い。 冷素麺。素麺冷やす。流し素麺。 夏の季語としてある。最も需要も多い。 しかし、素麺は年中、庶民の食卓を飾る。 春、秋、冬は温麺として我が家の昼の食卓にはよくのぼった。 うどん好... 続きをみる
囀り
囀。 囀る。鳥囀る。 春になると小鳥たちが繁殖期を迎える。その頃の鳴き声のこと。 ☆ 囀や春潮深く礁めざめ 加藤楸邨 > こんな風景を目のあたりにする場所がある。 檀ノ浦の崖の辺り、礁がごつごつとしている。まさにその場所で鶯が協奏曲を奏でる。 舌たらず... 続きをみる
花の種
花種。物種。種売。種袋。種物屋。 昔から、農家では自家用の種は収穫の後、軒に吊るしたり、梁に吊るし、乾燥をして保存をした。 近年は、自家採取が少なくなり、農協、種物屋に依存をしている。 ☆ 釘箱から夕がほの種出してくる 飴山 實 > 農業のかたわら、手先の器用な人であ... 続きをみる
チューリップ
子供が一番に描く花は チューリップ。 花の名前を知らない人でも、チューリップだけは知っている。 チューリップの代表的な花言葉は (博愛 思いやり) トルコを原産とするこの花は、色によっても花言葉をそれぞれが持っている。 ピンクのチューリップは (愛の芽生え、誠実な愛)だそうな。 ... 続きをみる
朧
朧夜。谷朧。草朧。水朧。鐘朧。 春の夜、何もかもがぼんやりと煙るように見えることを「朧」と言う。 夜の霞である。しっとりと潤った大気中で起こる現象である。 ☆ 風呂の戸にせまりて谷の朧かな 原石鼎 > 山国での生活。外風呂を想像した。生活に実感として詠われている。 ... 続きをみる
磯遊び
磯遊び。磯開。磯祭。 旧暦三月三日の前後、大潮の頃、磯辺で一日を過ごす風習のこと。 潮干狩りの始まり。 いまでは行楽についてもこのように云う。 ☆ 空を航くごとく船見え磯遊 高田風人子 > 海原はるか霞んでいて、浮島日和。 船は浮いてまるで空を飛んでいるように見え... 続きをみる
冬芽
🐢 御手植えの県の木冬芽恙なし > これも言葉の経済効率が抜群。「お手植え」の一語で、かつて皇室のどなたかがここを訪れ植樹をなさった木がそこにあることが分かります。さらに植えたモノが「県の木」であるというのが、いかにもお役所的チョイスだなあ~というリア... 続きをみる
蛤
🐢 蛤やはらから集ふ遊山箱 はらから」には【① 母を同じくする兄弟姉妹。また,一般に兄弟姉妹。 「島にかへる娘二人は-らしく/源おぢ 独歩」 「親族(うがら)-/万葉集 460」 ②同じ国民。同胞(どうほう)。】と二つの意味がありますが、この句の場合は①ですね。... 続きをみる
花曇
花曇。養花天。 桜の咲く頃の曇り空。 花の空と白みがかった空が、一体となっている空。 ☆ をとといもきのふも壬生の花曇 古館曹人 > 壬生という地名が生きている。 🐇 救急車から見えたる宙や花曇 認知症の爺に車をぶつけられて、救急車に乗って病... 続きをみる
春遅々
春遅々。春遅し。遅き春。おそ春。 暦の上では春に入っているにもかかわらず、まだ肌寒く、花の開花も遅れがちなこと。 住む場所によって人々の思いもさまざまと異なる。心象的。 ☆ 春遅々と噴水に透く過密都市 野見山ひふみ > 北国や、山国とは違う。全き都会に住む人の句。 ... 続きをみる
遍路 ❶
🐢 目薬をさして遍路の発ちにけり 葉七子 ある結社の「草の花」での、記念大会に投稿をした時の優勝句。 一生の思い出に残る句である。 互選の前に結社の主宰の友人の俳人の選があった。 なぜか、あけ烏主宰の選をいただけなかったが、全員の先生方から選をい... 続きをみる
水草生ふ
水草生ふ。水草生ひ初む。藻草生う。 沼や池の水がゆるみそめる季節になると、さまざまな水草が生えてくる。 冬の間、菱、河骨、水葵、など水生植物が冬の間は下ろしていた根が活発に水面に出てくる。蓮も仲間に入る。 ☆ 生ひ出でて大いなる葉の水草かな 山本京童 ... 続きをみる
三月が来た
🍒 七色の千代紙春の愁ひかな 🍒 雲雀野や水筒腰に下校の子 🍒 ジオラマの新築模型風光る 🍒 雛祭る母の形見の市松さま 🍒 呼子鳥鳴く綿菓子のやうな雲 🍒 菱餅にあられ雛寿司色あはし... 続きをみる
二月尽
(ジョニー・ハイマスさんの写真から) 二月尽。二月果つ。二月終わる。二月逝く。 短詩型以外はあまり使用をされない言葉。 寒い二月がおわるとほっとした気分になる。 ☆ 束の間のかげろう立てば二月尽 森 澄雄 > このような日を重ねている... 続きをみる