よひらひらひら

自分だけの句を日記代わりに。


霰が降ってきた。
ドライブの最中に。
車を叩く音、フロントガラスを転げる霰のなぜか懐かしいこと。


    ☆    旅のわが青き帽子に玉霰    秋元不死男


> 青い帽子ってどんな帽子であろう。
まず、それの想像をした。材質は絶対にフェルトでなければ。帽子を打つ霰の音。
青いだから青春の冒険旅行。
旅を楽しんでいる気がするのだけれど。
秋元不死男だからって、構えて深く考えることもないであろう。
自然体で鑑賞した。


    💌    車打つ霰の音や峠越す


    💌    軒に薪積む山家あり玉霰


    💌    たちまちに霰止みたる夕青空

虎落笛


   💌    虎落笛堤に並ぶ六地蔵


   💌    虎落笛立ってをれなゐ坂の道


阿讃山脈の峰を渡っている送電線。
それが次は吉野川の北岸から南岸へ渡されている。


もがり笛を聞く時はいつも強い風にあおられている電柱や電線の揺れ、そしてしかっと風に対峙している送電搭が眼うらに浮かぶ。


慎と散歩に出かけ、虎落笛が鳴るとすくっと耳を立てて何かを聞きとらんと首を持ち上げていた。
遺伝子の中にある、猟犬の血が騒いでいたのかと思う。
前足を踏ん張り身じろぎもしない。めったに見せない凛々しい姿が浮かぶ。


寒くて風の強い日に立ち木や家や電線など様々なものに激しい風が当たってヒューヒューと鳴る音をもがり笛と云っている。


    💌    校庭にをこる竜巻もがり笛


    💌    虎落笛風神雷神喧嘩して


     ☆    母の灯のとどくところに葱囲ふ    神蔵器


「日本の歳時記」から

 一文字 根深 葉葱 葱畑    冬の季語である。
>「葱囲う」は、保存の為に庭先に浅く埋けておくこと。
厨から出てすぐ取り出せるような場所に囲っているのだ。


葱は生命力が強い。
青い先を使用した後、根の白い部分を土に挿しておくと、再び青く伸びて大きくなる。
窓辺に置いたコップに挿していても2~3日もすればなよなよとはしているが青い茎が伸びてくる。
今の季節の葱は葱鮪汁、すき焼き、味噌汁の具と重宝をする。
我が家は厨の隅から欠かしたことがない。
冬は太った葱がことに美味しい。


教会の横の狭いと云えば失礼だけれど、菜園に太葱が育っていた。


    💌    教会の尖塔葱畑に影落とし


    💌    葱太る貝殻鋤き込む海士の里


    💌    海女小屋の裏に太葱育ちをり


    🍒    やつ奴と洩れくる話葱鮪汁

聖樹


    ☆    行ずりに聖樹の星を裏返す    三好潤子


> よくある仕草。
街を歩いていて大きなXマスツーリに出会った。
金や銀のお☆さまを吊っている。
何気なくひとつに触れて、お☆さまを裏返した。
裏もキラキラ同じように光っている。
幸多き人もそれなりの人も、満遍に楽しいXマスでありますように!


明日はXマスイブ。
降誕祭、聖樹 聖夜 聖夜劇 聖菓 サンタクロース
みんなXマスの関連季語。


    💌    パパがサンタかサンタがパパかXマス


3~4年前は1年に7回も医大へ入院をした。
どの、病気だったか忘れたけれど、ちょうど今時分であった。
吹き抜けの医大の玄関ホールにXマスツリーが飾られていた。
大きくて見事なツリーを夜中、病室を抜け出して見に行った。
昼間は患者でごったかえしている、玄関ホールは、ツリーのイルミネーションがまたたいているだけで、夜中に起きてツリーを見ているのは私だけ。


病気に対する悲壮感はなかった。
治ると信じていた。
今の方がずーと不安で悲鳴を上げたい衝動にかられる時がある。
ネアカだから、平常心であるけれど、、、
写真のツリーは11月に新しく建った、農協関係の病院。
エレベーターの傍にしつらえられていた。
サンタさん、私に「万能薬」をもらえませんか。


パットブーンの甘い声のクリスマスソングに酔った昨夜。


    💌    はなうたよ小さな聖菓を猫と分け


             💌    下駄箱を照らしてをりぬ聖樹かな




     ☆   鍋にして一羽の鴨でもてなしぬ    長谷川櫂


「きごさい」より
鴨はよく見かける親しい水禽。
海と流水に棲むものに大別される。
北国より渡りきて春には帰る。狩猟の対象として真鴨は人気が高い。


> 風景を詠んだ句ではなく日常の鴨をめぐる句。
狩猟をされた鴨が手に入った。
今日は客人がある。
この鴨を捌いて、客人を鴨鍋でもてなそうと、はずんだ気持ちが伝わってくる。
大きな湖の畔の宿でのことであろうか。


栗林公園の菖蒲畑にいた鴨。
 番の鴨か、この鴨の周辺は一羽の真鴨が行ったり来たりして、のんびりと泳いでいる。
 時には傍の水辺に上がって横に侍っている。きっと夫婦の鴨に違いない。


    🐢    尻を振り大きい足で鴨歩く    葉七子