よひらひらひら

自分だけの句を日記代わりに。

冬遍路

    

冬遍路としては季語には無い。
遍路は春の季語。
秋の遍路も季語としては存在する。求道的な意味を持っていて、寂しい感じがする。
その外の季節は前に夏を付けて 夏遍路。冬だと冬遍路として詠む。


この石の仏さまは志度寺の境内に存します。
微笑みを浮かべたこの仏さまのお顔は大好きである。
どなたかが忘れた遍路杖がいつ行ってもお遍路さんに立てかけられてある。
杖を忘れた方は途中は難儀をしたことであろう。


     🐢    結願寺へ少しづつ雪深くなる    葉七子


     🐢    肩寄せて寝まる遍路や暖房車    葉七子


今日、志度寺へお詣りに行った。
普段着の姿で ご詠歌を奉納していたお方がいた。
よくとおる声で、難しいご詠歌の節回しを上手に詠っている。耳をかたむけて聞いた。
娘さんらしい人が長い祈りをじっと待っていた。
小雨が海からの風に吹きつけてきたので今日は早々と帰った。
それと、いつもはよく鳴いている小鳥たちがいなかった。雨になるのを察してねぐらへ帰ったのか。


     💌    寒椿ご詠歌のよくとおる声

三寒四温

    


昨日は暖かかった。
今日は少しお天気が崩れて雨催い。
三寒四温は三日間寒さが続いたあとは、四日間やや寒さがゆるむこと。


     🐈    干し魚の透ける三寒四温かな    葉七子


     🐱    三寒四温老猫は認知症はも



写真の寒あやめは歳時記に載っていない。
この寒あやめ詠んだ良い句をだれも作っていないから、歳時記に無いということ。
どなたかが 名句 をつくれば 「寒のあやめ」で歳時記に掲載されることだろう。




寒鮒

寒鮒。寒馴れ。寒鮒釣。


水温が下がると水の底に潜り、水草の下などにもひそんでいる。
冬の鮒は油がのって美味しい。
池の畔で寒鮒を釣っている人を見かけた。
「寒くないですか?」と声をかけると
「寒い、寒いから完全武装をやっています」と声が返ってきた。
釣るのが楽しいから釣った鮒は又、池に戻すらしい。


     ☆  水を釣って帰る寒鮒釣一人    永田耕衣


> 土曜、日曜ともなればあちこちの溜池では鮒を釣っている人が多くいる。
釣果は知らぬけれど、水を釣って帰る人も多いであろう。
今日は駄目だったから、又来週と引きあげるのであろうな。


    💐    鼻真っ赤寒鮒釣の目深帽


    💌    鮒の泥吐かしをる樽寒土用
この句はネット句会に投句をした。
没。
後で気が付く。寒土用なぞと、こてふった言いまわしをしなくても、寒鮒と四文字で全て表現できることだ。
(師はごちゃごやと云わない)と最初の選句欄に書いておられる。
そうなんだ。わかり切っていることをいつもいつも何回も言わせるのかと、腹も立つだろうなと後で気がつく、オバカサン!


    💌    寒鮒の泥吐かしゐる樽であり
この投句で採ってくれるかどうかは分からない。が前の句よりすっきりとした。まことにオソマツでした。


    💌    寒鮒釣我慢比べを何として


    💌    没日ちかし寒鮒釣の未だをりぬ



枯野

   

枯野。枯野道。枯野人。枯野原。
草の枯れ果てた野。
花も紅葉もいつの間にか消えさって、枯れ草が風に吹かれている。


     ☆    旅に病んで夢は枯野をかけ廻る    芭蕉


> あまりにも有名な 芭蕉 の作品。


     ☆    真直に道あらはれて枯野かな    蕪村


> 芭蕉が好きな人と蕪村が好きな人一茶の好きな人。


私の好きなのは一茶である。
鑑賞眼がないから、一茶だと良く理解しやすい。そんな単純なところで。


枯野はさみしいと見ればさみしい。しかし未来がある。
風に吹かれる葉の裏側に光が当たる。根こに朱い芽がかくれている。
枯野をゆけばそんな光景に行き当たる。


     💌    リア王のやう髭たくはへ枯野行く


     💌    枯野原転がりありぬ蛸の壺



枯野の上は冬の青空。
鳶が高く低く舞っていた。


     💌    鳶の来て大きく舞ひ去る枯野かな



寒中

   

寒中。寒の内。寒四朗。寒九。
寒の入りから立春の前日までの、およそ三十日間をいう。
寒九の雨は豊年の前兆らしい。


昨日の県立図書館の内部。
平日であるから、人の数は少ない。
暖房が利いて暖かいので受験勉強をする若者で机は占められている。


    🐓    封筒ののりしろちぢむ寒さかな    葉七子


    🐦    投函の音冴え吾が手はなれたる    葉七子


    🐦    漢散らす鱗寒九の水にかな    葉七子