よひらひらひら

自分だけの句を日記代わりに。

薄氷

薄氷(うすらい)。春の氷。春氷。
春になって寒さが戻り、薄い氷が張っているにを見ることがある。
解け残った薄い氷にもいう。


    ☆    せりせりと薄氷杖のなすままに    山口誓子


> 小さな水たまりに薄い氷が張ったのであろう。
散歩の途中、杖の先でつついてみると せりせり と右へ寄せれば右へ。
左へ寄せれば左へ氷が寄る。
誓子もこんな、やさしい句を詠むこともあるのか?
政府の言いなりに、右向け右、左向け左、と素直な国民を暗喩しているのだろうか?


    🐢    薄氷やゆらいでをりぬ金閣寺    むめ


> 京都府北区の臨済宗の寺、鹿苑寺。
この寺の鏡湖池の畔に建つ舎利殿「金閣」は、水面に映る美しさが印象的です。
京都の厳しい寒さがゆるむ頃の金閣を描きました。


結社の選者のおひと方の句評にこのように書いていただいた。
俳句は発表をすると一人歩きをする。
共感を抱いてもらい、選評をしてもらうとうれしいものだ。

煮凝

   

                            四国村の長火鉢


   🐢   春近し冷めても美味い卵焼き    葉七子


   🐢  煮凝りを猫と分け合ふ朝かな    葉七子


煮凝。煮凍。凝鮒。
煮魚が煮汁ごと寒天のように固まったもの。
骨から出るゼラチンが冷えて凝固したもの。


    ☆   煮凝にするどき骨のありにけり   大牧広


厨俳句である。
昨夜煮たカレイかひらめの残ったものを皿に出して置いて置く。
一夜明けると、煮凝りができると期待をしている。寒い厨で一晩たった魚は期待どうりにりなっている。


卵の句も私が健全なる主婦の証明である。


     💐   玉子焼菜の花よりも黄色なる

牡丹の芽

     

牡丹は寒さに強いため、他の植物に比べると芽を吹くのが早い。
枝の先に燃えるような赤い芽には花の王者らしい風情が早くも感じとれる。


    ☆   誰が触るることもゆるさず牡丹の芽    安住敦


> そんな気色の牡丹の芽である。


   🐇    心技体整えてをり牡丹の芽    葉七子


横綱の風格、いや条件は心技体を整えてこそ。
牡丹の芽を見ているうちにそんなことを思ってできた句である。


   💐    牡丹の芽こぞりて天へ向きをりぬ

冬  ETC

    

    🐇    どこからも冬の二上酒にせむ    葉七子


もう二十数年前になる。
俳句の吟行げ奈良へ行った 。
どこからも冬の二上山を望む古都奈良の寒い日であった。
早く宿に入ってお酒を飲みながら句会をしようと声が。
のんびりとした、日々であった。


         🐇    ふるさとへ一駅ごとに雪深む    葉七子

椿

       

山椿。つらつら椿。花椿。八重椿。。。。。


ツバキは春の事触れの花の意。
「椿」は日本の国の字。
中国では椿の字を当てる花は別にある。


    ☆    ゆらぎ見ゆ百の椿が三百に    高浜虚子


>  はなれた場所から見ていた椿に風が吹いた。
百だと思っていた椿の木が揺れて三百もあろう花に見えた。
そんな美しい錯覚を起こす花なのだ。


     落椿に埋もれた遠い日の記憶   葉七子