よひらひらひら

自分だけの句を日記代わりに。

冬すみれ

菫はスミレ科スミレ属の多年草。日本に約八十種、変種まで含めると二百種類以上あるとされる。


冬の菫。寒菫、、が今時分の季語。
寒さに強く、陽だまりでよく見ることがある。全体に小ぶりだ。色は濃い紫をしている。


     ☆   冬すみれおのれの影のなつかしく    川崎展宏


> 平凡な日常生活。山の辺の道で目に止まった冬すみれ。
影はひと色。疲れも幸福も影からは見えない。このように菫の花に佇む自分がふっと既視感として甦るったような、懐かしさ。


     🐢   うまさけの三輪の山辺の冬すみれ   むめ


     💐   寒すみれ磨崖に残る朱の文字


写真は冬すみれとは違う。
パンジーの寄せ植え。
すみれは本当に心を優しくする花だと思う。

冬木の芽

冬芽。冬木の芽。


梅、桃、桜などの樹木や草などの芽は夏から秋には早くも作られている。
その芽がそのまま冬を越し、春がくるとほころぶ。


   ☆   木々冬芽凍てのゆるみに濃紫    前田普羅


> 色々の木がそれぞれ芽の中に蓄えている思いや力。
この木は何の木か?濃い紫色の芽が端然と春の到来を待っている。



古い杏の木の芽。
雲はもう春の兆しである。春になると薄もも色で蘂の長い杏の花が咲く。


    🐢    花も果も知らぬポポーの冬芽かな    葉七子


植木市でポポーと名札の紙に書いている木があった。
小さい木ながらしっかりと冬芽をつけていた。
さて、どんな花が咲いて、どのような実がなるのであろうか。


    💌    辛夷の芽嬰児(ややこ)のちんちのごときかな


そう、想像した。オ ホ ホ、、ホ、、、

冬籠

冬ごもる。雪籠。


冬、寒い外に出ないで家の中で過ごすこと。
身をちぢめて、じっとしているばかりではなく、それなりに屋内の生活を工夫して楽しむ。
雪国はストーブや炉を囲み家族の絆も深まることであろう。


    ☆    目ばかりは達磨に負じ冬籠    来山


> 元気な老が春を待ちながらの矍鑠とし気合がはいっている。


    ☆    読みちらし書きちらしつつ冬籠    山口青邨


> どこにでも誰にでもある一齣。


    🐢    目の薬あびるほどさし冬ごもり    むめ


悲しかった。目を患って外を歩く時は夫に手を引いてもらわなければ一歩も前に進めない。手術を待つ間も手術が終わってからも、二時間おきに何書類もの目薬をさした。


今も医大と手をきれない難病指定の舌を噛みそうな病名、、、、だがこうやってパソコンを打てる。読書もできる。手芸もぼちぼちとやっている。
お日様が射す暖かい部屋での冬籠りはそれなりに趣味などをを楽しめば結構よいものだ。

寒見舞

寒見舞。寒中見舞。


寒中に親類や知人の安否を気づかって見舞うこと。
手紙を出したり、贈物を持って直接に家を訪ねる。あたたかな気づかいの漂う季語である。


    ☆   寒中見舞鳴門わかめと決めにけり    板野小夜子


> 良くわかる。徳島に暮らしていた者とすると全く「そうそう 鳴門わかめじゃ」となる。
それも、ある商店の包装紙に包まれた鳴門わかめだと贈っても品質に間違いない。
干してちぢれたワカメを水にもどすと、水の中でパット緑色のワカメに変身をする。
味噌汁の種、酢の物。
我が家も歯ごたえがあって磯の香がして、ワカメは毎日の食卓に使うのも鳴門産と決めている。


     💐    トロ箱をはみ出す魚寒見舞


     💐    母存はす仏檀へ寒の見舞かな



冬かもめ

海鳥の中では最も良く知れた鳥である。
種類も多く、全国どこででも見ることができる。
どこにでもいつでもいる鳥であり、無季であったので「冬鴎」と冬の季語にしたそうである。


     ☆    沖荒るる日の揚げ舟に冬かもめ    鈴木しげを


> 北風が強く舟を出しての漁を見合わせている。
大な波が防波堤を叩く。カモメが群かたまっている。


今日は鳴門へ食事に。
活き魚専門の大衆食堂に。
土曜日であったから、ひっきりなしに客が出入りをする盛況ぶりであった。


      💌    冬鴎捨てた故郷すぐそこに


      💌    鴎舞ふ海風に凍りさうなる手


      💌    冬かもめ海峡に風力発電塔


      💌    帰り来る沖の舟待つ冬かもめ 


      💌    人に慣れたる漁港の冬かもめ


      💌    冬かもめカメラ持つ手のちぎれさう


  

今日の吟行句だ。
鴎の写真を撮ろうと近づいても平気なかもめ達。