寄生木
私の大好きな県立の図書館。
寄生木を見たのは何年か前にここへ来たときが初めてであった。
二月か三月、未だ春はそこまでという季節であった。
青空に向かって伸びたまだ裸の樹上のあちこちに丸いボールの鞠のようなものが付いていた。
その時は緑色をしていた。
たくさんあった。
寄生木とも宿木とも書く。それであった。
図書館の木は大方が欅である。
種子が鳥の嘴について散らばって増えてゆく。寄生をして、木から栄養分をとり育ってゆく。
寄生木を初めてみたのはこの図書館であったが、
源氏物語の「第四十九帖の宿木」のこの宿木の名前が印象深く、ああこれが彼の寄生木と思った。
今日は、冷たい冬の雨。
何十本もある欅の僅か一本にかろうじて、一個の寄生木を見つけた。
鳥の巣のようにも見える。
どの木にも付いていたたくさんの寄生木はどうなったのかしら?
たった一個だなんて。
俳句の季語では冬。
ヨーロッパではこれをクリスマスの飾りに使うそうだ。
🌌 宿木を宿し大樹は村の神 蓮實淳夫
神木として崇められている大な木。
宿木を付けた姿をさすが神木だ、頼もしいと仰ぎ見ている村人達である。
💌 寄生木は真青な空をひとり占め
💌 欅枯る大玻璃洩るる昼灯
💌 冬の雨空席のなき自習室
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