冬夕焼
🐇 瘤萎へし駱駝に冬の夕焼けて 葉七子
💌 病む兄を見舞ふて帰る冬夕焼
懐かしい風景。
大河の向うの山の風景。
夕方になるとポツポツと、この集落に点る灯が見える。
一点の灯。何も関係ない向うの岸の山里であるけれど、私を育んだ原風景の一つ。
両親がいて、吉野川の流れが夜更けには聞こえ、この山の裾に架った鉄橋を通る汽車の灯が見える。
そんな、子供の頃の景色がまざまざと浮かんできた。
見舞った兄はこの山が良く見える、隣町の老人の病院に入院をしていた。
不自由になった身体に話しかけると、私とわかって涙を流す。
美しい夕焼けもある。
待つ家族のいる元に帰る時の夕焼けは明日のお天気を約束して、屈託のない子供の頃と同じであるが、風が冷たい冬の夕焼けはことに淋しい。
しりとり俳句 から。
🍒 大玻璃の向ふは湖よ雪しまく
🍒 寒柝の近づひて来る仕舞風呂
🍒 冬凪やあまたヨットの瀬戸の海
🍒 とけさうな嬰児の笑顔室の花
🍒 数え日や返してをかねばならぬ本
🍒 壱円玉声出し数へ年の市
🍒 冬日濃し峰に送電搭の影
月並の域から出ていない句。
感性は枯渇していて学んでも学んでも、言葉が見つからない、忘れている。
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