べんがら格子昼の灯もれる秋の雨
秋風にのりく午報の太鼓かな
地下鉄を出てセピア色の冬の街
セーターのくすぐつたいよ猫の髭
るんるんと小春の街へショピング
マンホールの蓋に市の花時雨くる
天井画のような紅葉を仰ぎけり
巫女たちの絶やさぬ笑顔神の留守
森の中落葉蹴散らすモトクロス
紅葉の賀駆けつけきたる人力車
遠眼鏡に舟が入りくる小春かな
踏切の脇の石仏時雨くる
冬茜ブイ黒々と波の間に
林檎ジャム使い古せる竹の箆
酉の市寄つて帰ると老院長
ふるさとは寒風に素麺干すころぞ
船降りて馴染の店の葱鮪汁
花八つ手虫の羽音のするばかり
紅葉且つ散るひとり来て化粧坂
秋渇き言いたきことは胸に秘め
鳩吹くや数寄者隠れ住む辺り
小春日やいつも冷たき猫の耳
傘と杖たづさえて行くしぐれ雲
小鳥来る龍馬脱藩したる道
黄旗持ち紅葉且つ散る辻に立つ
大花野また岐れ径ありにけり
風船葛よるべなきなり竿の先
美しき嘘秋桜咲く径
松葉牡丹サンダル赤き子が通る
芝居はね霧笛の聞こゆ街帰る
霜柱お百度踏んでをられるか
菜の花がもう咲ひてゐる麻植郡
月見の宴薫ちやんは女の子
萩の径首から吊るす万歩計
2016 1 8
皺隠し木の葉ちんちん鷽かえる
流れ星ごとき子供の銀の凧
すってんころり転び笑ふ子冬の芝
寄りそふて餌台へふくら雀かな → ☆彡
まだ降りたままの遮断機息白し → ☆彡
人日の昔の夢よもう一度
お気の毒に、才能が枯渇した RYUさん に捧げる
冬日濃し先へ先へと吾の影
出初式急遽山火事現場へと
✶ 冬の曇降りてきてゐる結願寺