椿
色々の椿を今年も沢山見た。
これは、お隣の家の椿。
椿の種類は数千にのぼる。
数知れない椿の中で一番好ましくおもうのは、一重の椿。
侘助と呼ばれるのが好きだ。
お隣のこの紅椿は、一輪だけを手にとって見ると、まるで牡丹の花とみまごうばかりである。
幾重にも、花びらが重なり合い、こんもりともりあがっている。
直径は15センチもある、大輪である。
この椿が咲くのを、楽しみにしていた。
今朝、ふっと見ると咲いているではないか。
今日、明日、一週間もすれば、散ってしまう。
椿は散ると、醜い。
赤茶けて、地に還るときは、その辺りは見るも無残になる。
除けて通る。
私の一番古い記憶は椿の花。
大好きだった絵本を小脇に抱えて、座敷の中から、庭に咲いていた、ピンクに赤い筋の入った椿を見ていた。
座敷の障子窓に絵ガラスが組み込まれていた。
皆、若い家族の記憶。
二歳か三歳。瞼に浮かぶ。
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