よひらひらひら

自分だけの句を日記代わりに。

炬燵

掘炬燵。置炬燵。炬燵蒲団。 炬燵開く。
日本に生まれてよかった。
炬燵があって良かった。
庶民には、炬燵は欠かせぬ暖房機具だ。
最近のマンション住まいではどうであろう。


     ☆    句を玉と暖めてをる炬燵かな    高浜虚


我が家の 女王猫 は炬燵が大好きだ。
炬燵のスイッチを入れると、天板の上に横になる。
我々が留守の時は炬燵の中で寝ているようだ。
外出から帰って
「な子 名子」と呼ぶと
「ニャーン」と欠伸をしながら炬燵から出てくる。
昨夜は、手紙を5通ばかり書いた。
切手を貼るのに小さなお皿に水を入れて炬燵の上に置いていた。
私のやることに邪魔をするけれど、相手にならならないでいたら、お皿の水を飲んでしまっていた。
勿論、炬燵猫も、猫の冬の季語としてある。



     💌    炬燵猫いつものやうに冷た耳


     💌    尻重くする不思議なる炬燵かな


     💌    昨夜泣ひた娘の涙ある炬燵かな


歌留多

歌かるた。花かるた。いろは歌留多。 歌留多会。
新年の季語である。
正月の室内での遊びにはなくてはならない歌留多。
トランプも含まれる。
花かるたは花札のこと。猪鹿蝶、ぼうず(月)などとこいこいと座布団を囲んでやっているのを子供の頃に見た。
単に「歌留多」と云えば「歌かるた」のひとつ、小倉百人一首のことだ。


「日本の歳時記」から
    ☆    日本の仮名美しき歌留多かな    後藤比奈夫


> 漢字にはない、見事な仮名の情感と、変体仮名の曲線の美しさ。


畳の上に散っているのは、我が家の歌留多。
「万葉歌留多」である。
四千五百余首の歌を収めた我が国最古の歌集の中から選んだ五十首を、日本を代表する画家達が描いた「万葉集」をイメージした日本画でもって「歌留多」にしたもの。
奈良県立万葉会館の作ったオリジナルの「歌留多」である。


何首かはすらすらと憶えていて口にだすことも。
特に好きな歌はない。どれも人口に膾炙をしていて良い歌だ。


> 岩ばしる 垂水の上の さ蕨の
           萌え出づる春に なりにけるかも    
        ( 志貴皇子 )


この歌の本歌取りでこんな句を二十何年か前に作ったことが。


      💐    岩走る垂水一番遍路くる


遠い昔のことだ。
昨日はこんな句を しりとり俳句 に投句をした。


     💌    万葉歌留多ひとりで読んでひとり取る
雨が降って退屈をかこっていた。
この歌留多の絵をみて、歌を読んで時間を過ごした。

お降り


元日や正月三ヶ日にふる雨や雪のこと。
「富正月」とも。「お降り」の異名で、元日にふる雨は雪は豊饒をもたらすとの考えからこのように呼ばれている。


「日本歳時記」から
    ☆    お降りの松青うしてあがりけり    石田波郷


> お降りに洗われた松の美しさはことのほかのもの。
その青さをいうことでめでたさを表現した。



今朝は雨のお目ざめ。
お降りの季語が浮かぶ。
とうに三ケ日は過ぎたけれど、実際に今日の雨は今年になって初めてであった。


    🌌    お降りや桶の音する昼の風呂


何十年か前の初句会でたくさん点をもらった記憶が。


前の山が煙っている。
猫が窓際でじっと外を眺めている。
静かな休日である。


    💌    お降りや後ろ手に果樹仰ぎをり


    💌    猫抱ひて富正月も暮れてゆく

馬日

馬日とは六日のこと。六日年 とも云う。
初句会に出て席題に「馬日」とだされると。即座に何人の人が理解をするであろうか。
季語としての 六日 の印象は、三日とか、七日に比べると不鮮明な印象でしかない。
    
   ☆    六日はや睦月は古りぬ雨と風    内藤鳴雪


鳴雪は子規の弟子で、豊かな学識と古典的格式を持つ句を残した。


   ☆    雀子や走りなれたる鬼瓦    内藤鳴雪


よく知られている句。


六日と取りたてて云うほどのない、まことに新年が明けてからのこれから過ごす通過点に一日でしかない。


昨日利用した栗林公園北口駅。
午前11時頃。
山へ登っていてもう降りるのであろうか人をみつけた。
昨今の健康志向の方は一日たりと、決めた健康作りは守っているような気がした。


    💌    足取り軽く磴下る人馬日かな


    💌    幟打つ風の冷たき六日年


    💌    公園の溝掃ひてゐる六日かな

豌豆の花

     ☆    豌豆の花の飛ばんと風の中    勝又一透


豌豆の花の季語は 「春」
しかし今咲いているのは、れっきとした豌豆の花。


> 強い風を受けて必死に咲いている豆の花。けなげだ。
冬から春先にかけては、風の強さが定まらない。


讃岐は温かい地方。
もうあち、こちで矢来に組んだ竹にはわせていたり、丈夫そうな網にからませている豌豆の花を見かける。



スイトピーと全く同じ。
少しちいさいかしら。


    💌    豌豆の花水平線へ船消へる


岬を巡っていると、燧灘の向うから日が上がってくるのに出くわしたことがあった。
朝日を浴びて豌豆の花が咲いていた。


    💌    豆の花一度逢ひたと手紙出す


    💌    豆の花三月見ぬ間に嬰歩く